初の転職から1年が経過し、ゲーム会社で働くことについておおよその目途が立ったので、今回は転職についてこれまでに考えたことを書いてみる。
あくまで20〜30代のお話だよ
ゲームプランナーの市場価値
基準①:若さ
前提として、外部からそのゲームプランナーの評価を見極めることは極めて困難である。ただでさえ抽象的かつ定量的に測ることのできないタスクばかりのプランナーの実力を、履歴書と1時間程度の会話で推し量れるわけがない。
(#3 中途入社者への期待と現実 - 中堅ゲームプランナーの考事でも似たようなことを書いている)
ポータブルスキルが抽象的な物が多く、プロジェクト次第で仕事の内容もガラりと変わるゲームプランナーは、前職の経験を活かしづらい。よって配属直後は「生まれ持ったもの」がものを言う。それは頭の良さであったり、コミュ力であったり、人心掌握力であったり、図々しさ(意外と重要)だったり。
要するにポテンシャルが最重要ということなのだが、転職時にはこれに加えてコミュニケーション能力と人柄を重要視される。
ゲームプランナーの採用基準の8割はこれ
つまり経歴や経験が重要でない(役に立ちづらい)分、同じ職位同士であれば22才であろうが32才であろうが、扱われ方に殆ど差はない。だったら、雇う側としては若い方が色んなメリットがあってお得という判断になるのである。
【若者のメリット】
- 比較的安い給料で雇える(能力あたりのコスパが良い)
- プロジェクト内で摩擦が起きづらい(扱い易い)
- 若い感覚を補充できる
若さは武器だね
基準②:希少性
毎年数百件以上の応募があるゲーム会社では、書類選考だけで相当な労力を要するため、希少価値を見いだせない書類は目が滑ってしまう。
- リード、ディレクター等の上位レイヤーの経験
- タイトルとシナジーのある特筆すべきスキル
- ツール作成や業務効率化が行えるプログラミングスキル
- 公開中の個人作品(要クオリティ)
等の目を惹く要素がなければ、基本的にはスルーされてしまうだろう。
何かしら目の止まる経歴があれば書類選考を突破し、面接時にはその経歴に対する質問があるはずだ。回答が期待外れでない限り、プロジェクトとの相性とコミュニケーション能力を鑑みて問題が無ければ無事採用となるだろう。
運要素強し。でもゲームプランナーの採用ってそういうもん
つまり...
若い内に転職をするか、希少性を磨かない限り満足の行く転職は出来ない。
ちなみにブログ主は計画的に若い内に転職することができたよ
目安として、30代後半で「リードプランナー/パートリーダー/メインプランナー」「ディレクター」「プロデューサー」いずれも経験がない者は市場価値的にはかなり不利と言えるだろう。
40〜50代で平のゲームプランナーは、その会社の古株にしか許されない立ち位置...
厳しかろうが、やりたくなかろうが、30代の内にパートリーダー以上の立場を経験しておかなければ、企画職としてはGAME OVERなのだ。今いる会社にしがみ付くか、知り合いの伝手を頼るか、業界を去るか…。いずれも厳しい選択を迫られることとなる。
キャリアを詰ませないために
残念ながら、ゲームプランナーはプログラマーやデザイナーと違って手に職を付けるタイプの職業ではない(要領良い人なら誰でもできる)のでキャリア上での詰みポイントが多い。明らかに突出して頭がキレていたり、独創性を発揮する技量がない限り、戦略的かつ、虎視眈々と上位レイヤーに就くことを狙うしかないのだ。
なんだか情けない話に聞こえるな
開発規模の小さいプロジェクト(会社)に行く
現状最も効率的かつ再現性が高いと思われる方法だ。
プロジェクトの規模が大きいほど、リードやディレクター等の上位レイヤーの職位に就くチャンスは少ないが、10人~20人程のプロジェクトではどうだろうか?
2~3年ほど問題なくやっていれば、ほぼ確実に何かしらを管理する側の立場に就くことになるだろう。(なんなら、配属時点でもあり得る)
当然気になることとしては、「小さいプロジェクトでも評価されるのか?」という点だが、これは心配無用だ。なぜなら、小さかろうが大きかろうが役割に差はないからだ。
小国であろうが、将軍は将軍。
大帝国であろうが、一般兵は一般兵。
役割がまるで違う。
企画を左右させる裁量を持った上で、現場を仕切った経験があるか否か。
この経歴は、転職時に想像以上の威力を発揮するはずだ。
ちなみにブログ主はこの方法で転職したよ
一つの会社に留まる
「転職がキャリアを成長させる」といったような通説があるが、それは果たしてゲームプランナーにとってもそうなのか? 言わずもがな、NOである。
上位レイヤーに就くことを考えた場合は、一つの会社に留まっているほうが効率良く目的を達成できる。レイヤーが変わらずとも、裁量も増えやすいはずだ。
ゲームプランナーとしての市場価値が高まる前にポンポンと転職を繰り返していては、「重要な仕事を任されないまま歳だけ食っていく」という企画職としては最悪なキャリアになってしまう。
一つの会社に留まる中で、
- 周囲からの刺激が少ない
- 向上するスキルの幅が限られてきた
- 年功序列のスピード感に嫌気が指してきた
となれば転職時のサインなので、これを見逃さずさっさと転職してしまおう。逆に言えば、これが来ない限りは転職してもあまり良いようにはならないはずだ。(というか、受からない)
若さと成長スピードのバランスを見極めよう
というわけで、今回は中堅どころが悩みがちな転職について書いてみた。
実力主義の世界ゆえ、才能のある人は一切考慮する必要のないこと。
ただ全員がそうとは限らないし、凡庸なら凡庸なりに考えておかないと簡単に詰む職業なので、今後も引き続き悩んでいこうと思う。
それではまた次回。