中堅ゲームプランナーの呟き

ゲームにまつわる考察と愚痴と備忘録

#14 『DQ7R』 クリアレビュー

はたまた間が空いたけど、なんだかんだ続いている本ブログ。
今回は『ドラゴンクエストVII Reimagined』(以下DQ7R)のクリアレビュー。

「やはりRPGはユーザビリティが命」と思わせてくれた本作。
巷での評判も上々なようだが、私の評価としても即答で『良作』と言えるゲームだった。

ユーザビリティ

まずRPGのユーザビリティとはなんぞや?な人に軽く説明しておくと

プレイヤーがゲームの目的を達成するのに、どれだけストレスなく・迷わず・効率的に操作・理解できるか

ということ。

本作でユーザビリティが向上した例

例えば本作では

  • セーブポイントがこまめに配置され、ダンジョン内でもセーブ可能
  • 進行に必要なアクセスポイントが明示される
  • マップ上で未回収の宝箱の数がいつでもわかる

等のような、イマドキなユーザビリティを向上させる仕様が盛りだくさんであった。
単にイマドキな仕様が施されているだけでなく、原作にあったストーリーやダンジョンの構成も一から見直され、ボリューミーだったストーリーや地形も大胆にシュリンク

本作のテンポ感とユーザビリティ面への配慮には凄まじいものがあり、原作経験者でも”良い意味でゲーム性が違う”と感動するポイントになっている。

原作がどれほど不便で、いじわるで、ボリューム過多であったかは、既に色々な人が語っていると思うので、本ブログでは割愛。

グラフィックと”割り切り”による手触り感

ドラゴンクエストVII Reimagined | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

通称『ドールルック』によるグラフィック。
キャラクター達の等身は保たれ、ジオラマチックな背景との相性もバッチリ。
原作をプレイした人でも受け入れ易い、見事な落としどころだと思う。

流石スクエニのグラフィック

そして今回特筆したい点は、このグラフィックは世界観の表現として優れているだけでなく、ユーザビリティにも大きく貢献しているという点だ。

バトルスピード

このグラフィックだからこそ実現できた、ユーザビリティ面での最大の利点はバトルスピード。

バトルスピードは『ふつう』『はやい』『超はやい』の3種類から選択可能なのだが、『超はやい』に至っては、この等身のグラフィックでないと破綻しそうなほど速い

また驚いたのが、呪文や特技は演出の尺がコンパクトに統一されており、通常のバトルスピードでも十分に待てるほどテンポ感が良い。

これに関して、グラフィックにこだわりのあるスクエニが、ここまで演出を犠牲にプレイ感やテンポ感を優先することを徹底したということに、私は静かに衝撃を受けている。

直近あまり良いように言われないスクエニの夜明けも、近いのかもしれない。そう感じずにはいられないほど、良い意味で思い切りの良いディレクションだったと思う。

細かな演出の妥協

フォトリアルでなく、等身も低いとなると、こういった演出上の”割り切り”は比較的し易い。

正直、開発者視点で言えば演出上の不整合、足滑り、誘導順の不備など気になる点はそこそこあるのだが…だからなんだというのだ。楽しいし快適だからいいじゃん。そうセルフツッコミしたくなるのが本作。

そんな細かい表面上の事を対処する代わりに、ユーザビリティに目を向けていたのだろうか…。そう思いを馳せるだけでも、感謝の気持ちが溢れてくる。

ハードウェアのスペックは天井を迎え、各社終わりのない”こだわり競争”によって開発費が高騰し続ける昨今。そんな中、DQ7Rは「本来満たすべき要件は何か?」「プレイヤーが求めているものは何か?」といった大事なことを思い出させてくれた気がする。

こいつDQ7大好きだな

勘所の良いディレクション

グラフィックよし。
ユーザビリティとテンポ感よし。
そして、肝心のストーリーもテンポ感を重視しつつ、押さえるところは押さえる。実に勘所の良い調整であった。

▼テンポ感の向上

  • なぞの神殿踏破前に初戦闘を挿入
  • 各ダンジョンを原作よりシンプルかつ短く再編(カットも含む)
  • 原作より過去と現在を行き来する回数を減らしている

▼更にシナリオを盛り上げる改変要素

  • キーファとの再会
  • マリベルとの約束
  • アイラ/メルビンの加入タイミング調整

▼現代風にアレンジされたキャラクター性

  • キーファのイイヤツ感マシマシ
  • マリベルのツン要素緩和
  • ガボの時折鋭いこと言うキャラ感
  • アイラの他人行儀感緩和
  • メルビンのエロおやじ要素削除

▼(原作経験者的に)賛否両論だが、開発工数的に大英断

  • メインシナリオと関連性の薄い町はカット
  • カジノのカット(ラッキーパネルのみ残す)
  • 『モンスターのこころ』のアクセサリ化
  • 戦闘中の『はなす』カット(3DSから)
  • 『はなす』ボリュームカット

総じて納得感があるし、今の世代に適したチューニングになっている。
結果、原作では120時間ほど掛かったDQ7が、DQ7Rでは40時間でのクリアとなった。

プレイ時間は1/3ほどだが、満足感が損なわれたわけではなかったので、やはり良い調整だったのであろう。

まとめ

「DQ7を最新のゲームデザインで蘇らせるとどうなるか?」
これを体現してくれた、良作だった。

arou.hatenablog.jp

前回のFF9のクリアレビューでも語った、近年のRPGはユーザビリティとテンポ感の良さが肝であり、RPGのゲーム体験で最も変化する要素はユーザビリティであるといった点について、DQ7Rをプレイしたことで更に確信を持てた。

RPGにおいて根源的に「おもしろい」と思える部分や、ストーリーの魅力は何十年経っても変わらないが、我々を取り巻く環境が変わってしまっているので、ユーザビリティとテンポ感はアップデートし続けなければならない。つらい。

いつものゲーム開発しんどいENDで、今回は終わり。
ではまた次回。